2007年9月定例県議会


赤坂てる子県議の一般質問と答弁(要旨)
森脇ひさき県議の討論
議案に対する各党(会派)の態度
請願・陳情に対する各党(会派)の態度

議会報告



赤坂てる子県議の一般質問と答弁(要旨)



21番。日本共産党の赤坂てる子です。

参議院選挙での自民党の大敗につづき安倍首相の突然の辞意表明。「前代未聞のことであって、これ自体、無責任の極みの辞め方です。弱肉強食の『構造改革』路線の破たんはいよいよ明らかです新しい政治への転換こそ求められています。貧困と格差を広げる政治にどこでも暮らしの悲鳴、暮らしの痛みの声が噴きあがっています。内閣府が今年9月8日に発表した「国民生活に関する世論調査」でも、日常生活に「悩みや不安を感じている」人は69.5%にのぼります。地方自治体の目的は、「住民の福祉の増進」です。この立場で、寄せられた県民の声をもとに通告に従い質問します。

まず「後期高齢者医療制度」についてお伺いします。

 「政府は、どこまで年寄りをいじめたら気が済むのか」―高齢者の怒りと悲鳴があがっています。昨年秋に、全日本民医連がおこなった高齢者実態調査でも、高齢者の4割が毎月10万円以下の年金で生活しています。こうした高齢者の厳しい生活実態のうえに情け容赦なく増税・負担増がおしつけられてきました。

  この上さらに、08年4月から、高齢者の医療が大きく変えられます。

  @65歳以上の国民健康保険料が年金天引きとなること。A70歳から74歳までの医療費の自己負担が倍の2割になること。B75歳以上の全ての高齢者と65歳以上で一定の障害のある人などを対象とした「後期高齢者医療制度」です。

  この新制度は、全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合が運営主体となり、すべての後期高齢者が、保険料を徴収され。年金月額15,000円以上の人は、介護保険料とともに「年金天引き」されます。保険料が払えない高齢者は保険証を取り上げられ、「資格証明書」が発行され病院窓口で医療費全額を支払わなければなりません。さらに診療報酬も後期高齢者だけに適用される別建てとなります。このように年齢で医療内容を差別することは世界でも例がありません。

  保険料は、まだ決まっていませんが、厚生労働省の試算では、年金収入が年間208万円を基準に平均で月額6,200円、年額74,400円の負担になります。東京都では、最大で年額155,000円、最低でも年額96,000円との試算がしめされました。広域連合単位で設定される保険料は、所得水準や医療費によって都道府県ごとの差が大きく、しかも2年ごとに見直され、高齢者が増え医療給付費が上がれば保険料が自動的に上る仕組みです。こんな高額な負担に高齢者はたえられるでしょうか。

  また広域連合は独自財源を持たないため、独自減免制度などの施策も全て保険料に跳ね返ります。4月からの実施を凍結し、制度の全面的な見直しかありません。すでに県としても国への要望事項において「新たに地方公共団体が負担することとなる費用については、制度を創設した国の責任において、確実かつ明確な財政措置を行うこと」を求めておられますが、当然の事です。

  県の支援についてお伺いします。

  公費で自己負担無しで従来の健康診査ができるようにすることです。このたび国は、来年度予算概算要求で広域連合が行う健診事業に対して三分の一の補助金制度を示し、都道府県の補助金もあり得るとの考えをしめしました。県として老人保健による基本健康診査に準じて三分の一の補助をおこなってはどうか。知事にお伺いします。

  もう一つは、県広域連合議会では、被保険者が災害に場合や事業の休止などにより収入が著しく減少した場合など生活困窮などによる保険料の減免を検討するとしています。生活困窮などによる保険料の減免制度を広域連合が具体化するに当たって、要請があれば岡山県として補助制度を検討してはどうか。知事にお伺いします。65歳から75歳未満で障害をもつ方の場合、国民健康保険や被用者保険か後期高齢者医療保険を選択することになります。本人や家族に制度や仕組みが知らされていません。県として相談体制を作ることが必要と考えますが、保健福祉部長いかがでしょうか。



 「介護保険」について

  改正介護保険法について、これまでも問題点を指摘してきましたが、要介護1〜5の認定が昨年に比べて激減していることが明らかになりました。県内でも要介護1〜5の認定が70,361人から64,400人にと、6,000人も減少しています。このため必要な介護サービスも切り捨てられ「介護難民」と呼ばれる人たちが生まれています。

  また、介護現場では、賃金の引き下げ、不払い残業が常態化し、深刻な人手不足がおきています。「ワーキングプアー」ともいえる介護労働の実態は、介護報酬の低さが原因です。先日、若い介護労働者たちからお話をお聞きしましたが、「生涯の仕事にしたいとがんばってきたが、あまりにも安い賃金に、腰痛、もう限界・・・・」と。実際、介護労働者の月収は、全労働者平均の6〜7割程度にしかなく、年間離職率は2割と際立って高くなっています。「福祉オンブズおかやま」が昨年秋に行った県内介護老人保健施設の調査でも、勤続3年未満の介護職員が半数を超える施設が37.8%にのぼる実態が明らかにされています。

  県としてこうした介護労働者の労働実態調査を行うことが必要と考えますが、保健福祉部長にお伺いします。国に対して利用者負担増と切り離した介護報酬の引き上げや、職員配置基準の改善をもとめてはどうか。知事にお伺いします。



  障害者の命綱である心身障害者医療費公費負担制度についてです。

  参議院選挙を経て障害者自立支援法、応益負担の撤回を求める声はいっそう大きく広がっています。県の調査でも、障害者自立支援法が実施された昨年10月以降、負担増を主な理由として、障害者施設を退所・利用中止または利用日数を減らしたという障害者は82名。障害児施設では42名にのぼっています。

  岡山県は、「国の医療制度改革や障害者自立支援法」と「整合性を図らなければならない」とし、心身障害者医療費公費負担制度に応益負担を導入し、昨年10月から原則1割負担としました。また65歳以上の新規障害者を対象から除外しました。「障害をもつ息子が、三度も入院しました。そのたび8万円もの新たな負担がかかり、もう貯金もそこをつきます。どうすればいいのでしょうか」との訴えがありました。各地で深刻な事態がおこっています。障害者の新たな自己負担額は、県の行った調査によると、10月からの半年間で9億7千万円にのぼります。また、上限額を超えた医療費を自動償還制としましたが、障害者の2割が手続きができていません。

  心身障害者と家族、医療・福祉機関、市町村の声をどのように聞かれたのか、どのような実態調査をされたのか。またその結果はどうか。保健福祉部長にお伺いします。

  全国では、自己負担をもとめない無料の県が25府県と過半数であり、自己負担をもうけていても応益負担を一部でも導入しているのは現在、北海道・青森・山形・東京・兵庫・島根・岡山の7都道県にすぎません。応益負担を撤回し、元の無料に戻すことを求めます。知事、いかがでしょうか。



  妊産婦の健康確保。

  貧困と格差の広がりが子育て世帯を圧迫しています。大人に向かう成長過程にある子どもが、親の経済的事情によって学び成長する権利が奪われるような事があってはなりません。少子化対策のうえからも子育て支援や経済的不安の軽減が必要です。富山県など4県では母子保健対策の一環として妊産婦医療費無料制度を設け大きな成果を上げています。日本産婦人科医会も、全都道府県で制度創設を訴えています。県としても検討してはいかがでしょうか。知事にお伺いします。

  高齢出産やストレスをかかえる妊婦が増加傾向にあり、就業などの理由により健康診査を受診しない妊婦もみられ、母体や胎児の健康確保を図るうえで、妊婦健康診断の重要性・必要性がいっそう高まっています。厚生労働省は、今年1月16日に「妊婦健康診査の公費負担は、「5回以上が原則」「14回程度行われることが望ましい」としています。これをうけ県内の市町村でも美咲町が10回を予定するなど拡充が進められていますが、地域差も大きく、県としても一層推進すべきと考えます。保健福祉部長におききします。

  岡山県は、子どもの歯の健康づくりに取り組み成果を上げてきましたが、妊娠中は、ホルモンの変化や抵抗力の低下があり、つわりによる不規則な食生活などむし歯や歯周病にかかりやすくなっています。また、妊婦の歯周病が低体重児出生や早産の危険因子となるという報告もあります。近年、むし歯は感染症であるという認識が広がっていますが、むし歯菌は大人から乳幼児へ感染します。子どもの歯の健康にとっても妊婦の歯科保健は大切といえます。県として妊婦健診の中に歯科健診を位置付けてはどうか。保健福祉部長にお伺いします。



  教育条件の充実です。

  文部科学省は、40年ぶりに教員の勤務実態を調査し、その結果を「教員勤務実態調査報告書」にまとめ07.5月24日に発表しました。教員の長時間過密労働の勤務実態の深刻さを浮き彫りにしました。厚生労働省は、発症前1か月ないし6か月にわたって、1か月あたり概ね45時間を超えて時間外労働が認められる場合に、脳・心臓疾患の発症と業務の関連性が徐々に強まるとしていますが、三分の一強の教員が1か月あたり45時間を超える時間外労働を行っているとも言われ、この深刻な事態を解決するには、徹底した取り組みが必要です。これについて6月定例県議会においても、議論され、そこで教育長は、各学校で「学校の業務の精選や事務処理の効率化」などで過重労働の解消をはかる旨ご答弁されました。これで解決できるのかが問題です。以下教育長にお伺いします。

  まず、労働安全衛生法の学校現場への徹底です。岡山県教育委員会では、すでに平成6年に安全衛生管理規程をつくるなど労働安全衛生法の県立学校への徹底に努力されてきました。昨年には労働安全衛生法が改定されたことにより、長時間労働者への医師の面接指導の実施、労働時間の適正な把握、労働安全衛生体制の整備などのいっそうの取り組みが求められています。しかし、市町村段階での安全衛生体制の整備など労働安全衛生法の学校現場への徹底は不十分だと考えます。県教育委員会の認識と、市町村教育委員会の取り組みへの支援について、教育長にお伺いします。

  岡山県下で昨年精神疾患により病気休職した教職員が113人と10年間で約3倍となりました。多忙化が原因のひとつと考えますが、教育長いかがでしょうか。

  学校現場では、今日の教育困難のもとで「教員が子どもと向き合う時間を十分に確保することや、準備をしっかりして授業にのぞむこと」は、これまでにまして重要になっています。この点で、県が行財政改革の名の下に進めている、735人もの教職員定員削減は学校現場にいっそうの困難を強いるものです。見すごせないのが教職員の臨時職員化と非常勤講師の多用化がすすんでいることです。1年限りや細切れの講師配置によって子どもたちの教育に重大な影響を与えています。県内の小中学校での定数内臨時採用の数は、今年5月1日現在、小学校で275人、中学校で327人であり合わせて602人。標準法定数のうち、112人が非常勤講師として振り替えられています。これらは本来なら正規で採用される教師です。標準法定数については、身分の安定した正規任用の教職員として採用し、教育条件を整える事を求めるものです。また、安易な定数崩しをせず、非常勤講師の多用を改善することが必要です。教育長にお伺いします。



  チボリ問題に関して何点か知事に質問します。

  まず最初は、県議会への態度です。知事が県議会に何の相談もなく倉敷市への申し入れをした件についてですが、これは全くの議会無視と言わざるを得ません。明確な反省を求めますがいかがでしょうか。

  二つ目は、倉敷の回答期限の件です。既にご存知のように、倉敷市長は先日、倉敷市議会での質問に答えて、「慎重に検討するため、県への回答の延期もある」と述べました。倉敷市にとっても重要な問題であり、県議会での議論なども含めて各方面の意見を聞くためには、時間がかかるのは当然であり、期限を切って回答を求めるのは強権的とも言えます。知事の見解を伺います。

  三つ目は、倉敷市の税金投入問題です。市長はこれまで、「チボリは倉敷に必要な公園」という言葉の次に必ず「新たな税金投入はしない」と明言してきました。それは、「倉敷市には財政負担はかけない」というのは当時の長野県知事と渡辺市長の約束事があるからです。知事はそれを知っているのでしょうか?知事はその出発点の約束を破るつもりなのでしょうか。お伺いします。

  四つ目。「チボリジャパン社」についてです。知事の案では「チボリジャパン社」を今後どうするかということも、倉敷市の判断に任せるということなのでしょうか。「入場者数の減少」「赤字の増大」など「TJ社の経営破たん」は明白です。県が作った第三セクターは県の責任で破たん処理をするのが当然ではないでしょうか。お伺いします。

  五つ目は、知事の「新提案」のケースの地代に関してです。知事の案では「アミューズメント部分」は民間業者に負担させるのでしょうか。それとも県か、倉敷市かの税金投入なのでしょか。さらに、知事の案では、倉敷市が主体的に係わるという「公園」部分の地代は倉敷市が負担するのでしょうか。引き続き県が負担するのでしょうか。こうしたことも示さずに回答を求めるなどは論外です。案の段階でも構いませんから、知事の考えをお聞かせください。

  この項質問の最後は、チボリ問題の最大の問題である「税金の使い方」の問題です。県民の批判がそこにあることを知事も議会も認識していると思います。その点で、前の長野知事の税金投入問題ではなく、「5年間で35億円を投入し、単年度黒字にする」として税金投入を押し切った知事の責任が改めて問われなければなりません。石井知事のもとでのこの5年間でチボリ事業はいっそう破綻の道に転落しました。その責任を明確にしないで、「倉敷が主体的に」は無責任の極みです。いかがでしょうか。



  質問の最後は、自衛隊の日本原演習場での日米共同訓練についてです。

  昨年に続き、今年も日本原演習場で日米共同訓練が行われますが、その内容は昨年とは根本的に異なる危険な訓練となっています。米軍から参加する部隊は米第3海兵遠征軍第31海兵遠征部隊で、イラク侵攻の主力部隊として実戦に携わっている現役部隊です。あの残酷なファルージャ総攻撃に参加をしていた部隊なのです。米軍の規模も前回の30人から今回は250人、期間も11月11日から24日までの2週間で、前回の倍の期間となっています。

  この発表以来、周辺住民の不安は昨年以上に広がり、地元の部落では、「なし崩し的拡大」「常態化」への危惧が広がっています。米軍が日本原演習場を毎年毎年未来永劫に使用できるのは、「日米地位協定第2条4項b」によるものです。

  在日米軍問題については、全国知事会も「地位協定の抜本的見直し」の声を上げていますが、私は、石井知事が全国知事会の日米地位協定の見直し項目に「日米地位協定第2条4項b」を加え、国に要請するよう求めますが、いかがでしょうか。

  昨年は「演習場使用協定」が無視されケースが見受けられました。私は県当局が、昨年の実態をキチンと把握するとともに、「使用協定」を米軍にも守らせるようすべきだと考えますが、いかがでしょうか。



答弁

知事

 健康診査に対する補助についてであるが、国は、来年度予算の概算要求において、後期高齢者健康診査事業への補助を盛り込んでいるところであるが、現段階では、その具体的な内容が明らかにされていない。県としては、国の補助制度の内容などを踏まえながら、来年度の予算編成の過程において、検討してまいりたい。

 保険料の減免に対する補助についてであるが、現在、岡山県後期高齢者医療広域連合においては、災害等による著しい収入減少等の場合に保険料を独自に減免する制度を導入することを検討中と聞いている。広域連合が行う独自の保険料減免に係る財源は、広域連合の責任において保険料等で確保することが原則であり、これに県が補助することは適当ではないと考えている。



保健福祉部長

 相談体制についてであるが、65歳以上75歳未満で一定の障害のある方については、その申諸により後期高齢者医療制度の被保険者となるか、国民健康保険の被保険者等になるかを選択することができる。こうした手続や制度の詳細の多くは、今後、明らかになるものであるが、県としては、後期高齢者医療制度に関する窓口業務を担当する市町村とも連携し、必要な情報提供や相談に対応できるような体制づくりに努めてまいりたい。

 介護労働者の労働実態調査についてであるが、財団法人介護労働安定センターにおいて、各県ごとの離職率や給与水準など、介護労働に関する実態調査を実施している。また、国においては、来年度から、施設種別ごとに、定点観測の手法を用いた福祉人材の就業動向に関する調査を実施すると聞いている。県としては、これらの調査結果を活用することなどにより、県内の介護労働者の実態を把握していきたいと考えている。



知事

 介護報酬の引上げ等についてであるが、現在、国において、介護職員の給与水準や事業者の経営実態にも留意した適切な介護報酬の設定について検討するとともに、職員配置基準の改善についても検討していると承知している。県としては、介護職員の確保・定着を図るため、給与も含む労働環境の改善等が重要であると考えており、今後、介護報酬などが、介護現場の実情や保険料の水準等にも留意して、適切に見直されるよう、国に働きかけてまいりたい。



保健福祉部長

 心身障害者の声等についてであるが、県では、これまでも、審査支払機関からのデータをもとに受診状況や自己負担の状況を把握するとともに、様々な機会を捉え、障害者団体や障害者の保護者の方から、施行状況やご意見を伺ってきたところである。その中には、制度改正について一定の理解を示す意見もある一方で、応益負担の問題などを訴える意見もあった。引き続き、関係者の声に耳を傾けるとともに、市町村や関係団体等とも連携しながら、制度の施行状況等の把握に努めてまいりたい。



知事

 無料化についてであるが、昨年の単県医療費公費負担制度の見直しについては、給付と負担の公平化を図り、持続可能な制度となるよう見直したものである。また、所得の低い方々に対しては、負担限度額を低く設定した上で、更に必要な経過措置を設けているところであり、県としては、今後とも、施行状況を注意深く見守ってまいりたい。

 妊産婦医療費無料制度の創設についてであるが、平成18年度に単県医療費公費負担制度を見直した際に、子育て支援の観点から、乳幼児医療費制度の対象を3歳未満から就学前に拡大するとともに、給付と負担の公平を図り、持続可能な制度となるよう制度全体の見直しを行ったところである。このため、新たな医療費公費負担制度を設けることは考えていないが、県としては、乳幼児医療費制度の施行状況等を注視しつつ、周産期医療体制の充実を図るとともに、市町村における妊婦健診の充実を促すなど、安心して子どもを産むことのできる環境づくりに努めてまいりたい。

 妊婦健康診査の公費負担の拡充についてであるが、従前から、市町村に対し、5回程度の公費負担を行うよう、働きかけを行っているところであり、現在のところ、17市町村が今年度中に公費負担回数を増やす予定であり、残りの市町村においても、来年度以降に増やす方向で検討されていると聞いている。今後とも、市町村における妊婦健診事業が適切に行われるよう、県としても努力してまいりたい。



保健福祉部長

 妊婦の歯科健診についてであるが、妊婦健診の中に歯科健診を位置付けるかどうかは、各市町村の判断によるものであり、現在5市町において実施しているが、受診率は最大で約23%であり、健診内容や実施方法が課題となっている。県としては、健診時に限らずあらゆる機会に、妊婦に対して歯科保健に関する情報提供を行い、セルフケアを進めていくことが有用と考えており、今後、県の歯科保健対策協議会などで関係者と連携を図りながら、効果的な妊婦の歯科保健指導の推進に努めてまいりたい。



教育長

 まず、教職員の労働安全衛生についてであるが、市町村立学校では、労働安全衛生法に基づき、ほとんどの学校で衛生管理者や衛生推進者を選任しているが、教職員の健康保持増進のためには、それらが十分機能することが重要であると考えている。県教育委員会では、これまで市町村教育委員会に対し、健康管理体制の整備や、衛生管理者等の役割の重要性について研修会を実施してきたところである。来年度からすべての小・中学校でも、長時間勤務者への医師による健康相談などが必要となることから、労働安全衛生法の趣旨やその取組の充実が一層図られるよう、市町村教委に働きかけてまいりたい。

 次に、精神疾患による病気休職についてであるが、――休職者からの聞き取りによると、休職に至った要因として、職場での同僚や保護者との人間関係、生徒指導上の悩み、また、家庭での悩みなどを挙げるケースが多く、わずかではあるが、多忙を要因の一つとして挙げた者もあった。こうした様々な要因が複合的に絡み合い、ある要因をきっかけに精神疾患に陥るケースが多いのが実状であり、なかでも、近年、教職員には人間関係に起因するストレスが大きな要因になってきていると考えている。

 最後に、正規の教職員の配置についてであるが、平成17年度に改訂した県の行財政改革大綱において、児童生徒数の減少や高校の再編整備、小・中学校の統廃合などによる自然減、事務事業や執行体制の見直しによる事務局職員の減員などを含んで、735人の定員の純減を計画している。講師については、将来の児童生徒数の減少や教職員の研修などに対応するため配置しているものであり、定数管理上必要なものと考えている。 また、非常勤講師についても、生徒指導上の課題への対応や、少人数指導などの指導形態の工夫のために配置しているものであり、きめ細かな指導の充実のためには必要なものと考えている。今後とも、限られた教職員定数を最も効果的に活用するという観点に立って、様々な任用形態を工夫しながら、教育の充実が図られるよう適正な教職員配置に努めてまいりたい。



知事

 県議会への相談についてであるが、移行期間に限りがあることや来年度予算の関係等から、早急に関係の方々と協議を進めていかなければならないと考え、9月議会を控えた先般、まず、倉敷市長にお会いし、私としての考えをお示しした上で、市民の公園としての活用について積極的に検討していただくようお願いしたものである。

 倉敷市の回答期限についてであるが、先程もお答えしたとおり、移行期間に限りのあることや来年度予算の関係等から、今後の公園の・在り方.については、年内に大枠をお示しする必要があると考えている。そめため、倉敷市長には、9月の倉敷市議会終了後できるだけ早く返事をしていただけるようお願いしたものである。

 倉敷市の負担についてであるが、過去のいきさつ等については承知しているが、チボリ・インターナショナル社との提携契約が終了し、また、チボリの名称等も来年1.2月末までで使用できなくなるなど、公園を取り巻く環境は大きく変わってきたところであり、今後の公園の在り方については、新たな観点から総合的に検討しなければならないと考えているところである。倉敷市におかれても、そういう観点から是非とも前向きに検討していただきたいと考えている。

 チボリ・ジャパン社についてであるが、会社の経営については、会社自らが責任を持って行うことが基本と考えている。今回、倉敷市へは、市民の公園としての活用についての検討をお願いしているものであり、決して、チボリ・ジャパン社に関してまで市が主体となることをお願いしているものではない。チボリ・ジャパン社の経営問題については、会社自らが解決していかなければならないものであるが、県としても、同社と緊密に連携し、関係者と十分協議しながら、適切に対応してまいりたい。

 地代についてであるが、先般、私が申し上げた「緑と花と水辺の部分を核に市民の公園とし、周辺は民間事業者によるアミューズメントや商業施設とする」という案は、一つの例示であり、市民の公園としての活用については、倉敷市において、現在の公園の規模や形態にとらわれず、新たな観点から幅広く、主体的に検討していただきたいと考えている。今後、倉敷市から一定の方向性が示されれば、それを踏まえ、市やチボリ・ジャパン社、土地所有者等関係の方々と、公園の在り方について、具体的に協議、検討していかなければならないと考えている。

 税金投入の責任についてであるが、社員一丸となった経営改善への取組により、経費は削減されたものの、近年の景気の低迷や、入園者数の大幅な減少、消費単価の下落などから、厳しい経営状況になったものと認識している。こうしたことから、18年度までの経営改善計画が計画どおりとならなかったことは残念であるが、計画当初想定されなかった減損会計基準の適用を除けば、当期損失は計画前と比べ大幅に縮小しており、一定の成果は上がったものと考えている。

 日本原演習場での日米共同訓練についてであるが、日米地位協定第2条第4項bに関する事項については、条約等に基づき国が専管して実施されるものであり、国に対し見直しを要請することは考えていない。また、前回の訓練における演習場使用協定の遵守については、地元の市や町から特段の連絡は受けておらず、守られたものと認識しており、今後とも、住民生活の安全の確保と生活環境を守る観点から注視してまいりたい。



【再質問】

では再質問させていただきます。まず最初に教育長ですが、多忙化の原因に精神疾患による多忙化もあるということをもう少ししっかりつかんでいかないと労働安全衛生法の徹底も進まないというふうに私は思います。そして一番大事な問題は、いろいろ体制をとるのも必要なんですが、どう時間が適正に把握されるかどうか、これがされてはじめて対策もとれるということもありますので、この点をぜひ徹底していただきたいと思います。

  それと、非常勤講師の件と定数内講師の件ですが、全くすべて正職員にというより、融通のきく総額裁量とか定数崩しとか文部省は認めてはいるんですが、県内の実態がどうかということなんですが、ずっと増えているんですよね。必要なんだけど増えていると。しかも約2倍化です。2001年から2007年までの間で2倍化しているわけです。そしてこの非常勤講師、少ないように見えるんですが、この非常勤講師の数はですね、小学校で平成16年で100人以下だったものが、今は250人から305人、統計のとり方で違いますが、そういう事態にありますし、小中合わせて550人から650人程が非常勤講師として使われている、まさに非常勤講師依存が進むのではないかと。必要な部分があるとしても、非常勤講師に頼ってはならない。そして、正規職員を増やすということが非常に重要なのではないかということを、子どもたちの一人一人の教育を充実させるという教育権という観点から見ても問題があるのではないかということで指摘したいと思います。答弁をお願いします。

それと、障害者の医療費の件ですが、実態を把握されているかのようなご答弁があったわけですが、心身障害者医療費の公費負担制度に応益負担が入ったことの意味をしっかり捉えていただきたいと思うんです。実は岡山県のほうに、あの担当者の方に自己負担総額はどれだけになりましたかとお聞きしたら、6月議会のときに10月一ヶ月で1億5000万円だというご報告だったんです。しかしよくよく調べてみれば1億7000万円でしたというご報告なんです。自己負担の総額すらきっちりとまだつかめていない、こういう体制があるということを指摘をしたいというふうに思います。そして、1年間に直したら約20億円の新たな負担が生まれているということです。障害者の方が医療を削るということは命を削るということです。他を削ってでも医療を受けておられる、そして家族の方も大変な思いをされている。ある方は「30歳になる娘が結婚しようとしない。これも私のせいだと思う」というふうに、ほんとうに障害者の方がつらい思いを述べられました。こうした障害者をケアしていく、フォローしていくのが県の役割だと思いますし、その障害者の方に障害者医療費の負担をかぶせたこの点についてしっかりと実態を把握する必要があるのではないかと思います。再度ご答弁をお願いしたいと思います。

  それと同時にですね、他の県を見たんですけど、富山県では10回の会議を開いて報告書まで作り、研究会全国調査市町村アンケートをして、1割負担、自己負担は導入しない、所得制限だけ少し強化することになりました。ほかの県でもそういう状況です。ですから障害者の声をもっと聞いていく、その体制がいるのではないかと思います。そして同時に65歳以上の障害者の後期高齢者に対しても他県以上に負担をかけているということをご指摘したいと思います。

そして最後、知事にご答弁をお願いしたいのですが、チボリ問題です。県はチボリジャパン社の経営状況をあまりにも軽く考えられているのではないかということを指摘したいと思います。有形固定資産、無形固定資産全てが資産価値なしという評価をされる。そして継続企業の前提に重要な疑義があるというところまで破綻しているということです。継続企業の前提に重要な疑義がある場合、その状況を解消あるいは大幅に改善させるための対応または経営計画の策定が求められている、それが公認会計士の協会の見解です。しかしもう既にこの対処案、どういう対処案をされたのか、チボリジャパン社が、これについてお伺いしたいと思います。これはもう既に破綻しているのではないか、それを改めて質問させていただきます。



【答弁】

知事

  再質問にお答えします。チボリジャパン社の経営の問題でございますが、これも先程申し上げましたとおり、会社の経営は会社自らが責任を持って行うということが基本であります。チボリジャパン社におかれましては、先程議員ご指摘の通り、外部の監査法人からの指摘を受けまして、尚一層の経営改善に向けまして今まで以上の取り組みを強化をして対応していくと、このような方針を坂口社長が述べておられるわけでありまして、県といたしましても緊密に同者と連携をとりながら経営の改善に向けての取り組みを支援をしてまいりたい。また、共に考えてまいりたいとこのように考えているところでございます。以上でございます。



保健福祉部長

  お答えいたします。心身障害者医療費公費負担制度に関しまして、実態の把握でございますけど、先程ご答弁申しあげましたように、審査支払い機関からのデータを元にいたしまして、受診状況や自己負担の状況を把握しておりますけれども、この制度におきましては自己負担の上限額を医療機関の合算でみるというようなこともありましてかなり複雑な内容になっています。したがいまして若干のデータを修正すると、後から修正するというようなことがございますけども、大まかな傾向は把握をしておりまして、また、必要に応じて正確性を期してまいりたいと考えております。また障害者からの声を聴くべきではないかというご質問につきましても、先程ご答弁をいたしました通り、障害者団体や障害者の保護者の方から、施行状況やご意見をこれまでも伺ってきております。引き続きまして、様々な機会に障害者の方々、あるいは障害者の団体の方の声に耳を傾けてまいりまして、制度の施行状況等の把握に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。



教育長

  それでは再質問にお答えいたします。まず学校現場の教職員の労働時間の把握の徹底の指導ということについてでありますが、労働安全衛生法の主旨を適切に生かしていくというようなことのうえからも、こういうことは大切なことであると思っております。私どもそういうことで、市町村教育委員会に集まっていただいて、趣旨の説明や対応等につきまして詳しく研修会等もさせてきて頂いているところでございます。今後一層きちんとそういうことができて適正な指導ができていきますように、指導の徹底を計っていきたいというふうに考えております。

  次に教職員の非正規雇用に関わってでございますが、先程も申し上げましたが、講師につきましては、将来の児童生徒数の変化といいますか、そういうことへも適切に対応をしていくとか、教員の研修の後といいますか、そういうふうなことからも、考えて実施をしているところでございます。また非常勤講師につきましても、きめ細かい生徒指導でありますとか、教科指導でありますとか、そういうふうなことのために工夫をしながらやっていくことの一つとして実施をしてきているところでございます。子どもたちの教育の充実が図られる、そういうことを大事に考えながら、それぞれの正規の職員、そして講師の方、そして非常勤の講師の方、というふうなバランスも考えながらこれからも取り組んで行きたいというふうに思っております。以上でございます。



【再々質問】

保健福祉部長にお伺いしますが、確かに声を聴いておられるというのはとても重要なこだと思いますが、どのように聴いて、どのように反映させるかということだと、これが他県との違いだと言いたいと思います。これほどの負担をかけられたという認識があるのか、障害者にどれほどのつらい思いをさせているかという認識があるのかが一つです、そして一人一人の方がどういう状況なのか、そういう状況を把握する体制になっているのか、そして私は島根県を見ましたが、島根県の場合は議会ごとに自治体ごとに状況を報告しているというんです。だからそういう対応をしないといけない、そのことを再度お伺いしたいと思います。

それと、知事にお伺いいたしますが、会社みずからが責任をもって行うと言われながらですよ、5年間で35億円の補助金を出した。それが、チボリジャパン社の経営改善計画だったというのがこれまでの5年間だったのではないでしょうか。

 そして、今回私がお聞きしたのは、この過ちを知事はまた繰り返されようとしている。それは、継続企業の前提に重要な疑義がある、それについての経営計画または対処が示されているはずだから、知事は何と認識されていますかと私はお聞きしたんです。それに明確な御答弁がありませんでした。継続企業の前提に重要な疑義があるという判断を監査がした場合、これが示されなければ、監査する人自体が監査報告出さないぐらい大変な問題なわけです。ですから、その点がどうかということが一つ。そして、実際のチボリジャパン社の経営状態ですが、4月から6月の上半期で、売り上げは83%前年並み、そして、年間売り上げは、このまま推移していけば、21億円程度になるだろうというような実態にあります。その上補助金はないわけですから、赤字はさらに膨らんでいくということはもう明確です。22〜3億あるといっても資金はショートするおそれもあるような状況の中で、県は融資をされているわけです。倉敷市も何十億円と融資をしているわけです。この点が一つです。この点をどのようにお考えなのかということが一つ。

 そしてもう一つは、税金の使い方です。これまでつぎ込んでこられた税金、県の一番の責任、そして県議会の責任というのは311億円、直接チボリにつぎ込まれた。そして、そればかりか周辺の、例えば私は調べてみましたが倉敷駅の北の駐車場、これは河合副知事が当時中心になってされたようなふうに見受けられますけれども、28億円かけてつくられたこの倉敷チボリ公園の北側にある駐車場も、今大赤字になっているというこんな事態。実質は、これは直接な形では出ていませんが県がやったのと同じです。こうした事態になっているということで、私が言いたいのは、これだけの税金があれば、先ほど教育長が苦しい御答弁をされました、国が教員をふやさないからやりくりをしているという、そのやりくりのやり方について本当に問題が起きているわけですが、国が増員をしなければならない、こんな中で、なかなか狭い中で苦しまれているわけです。そしてまた、保健福祉部長は、障害者の医療費の問題で御答弁なさいました。この教育や福祉に回していれば、この何百億円というお金がどれほど生きたお金になったかということを私は、県がきちっと反省をしなければならない、このことを言いたいと思います。

 平成14年3月29日に岡山県の包括外部監査結果報告書が出されました。覚えておられる方もあると思いますが、(報告書を示す)このような分厚いものとして皆さんにお配りされたと思います。ここには、倉敷チボリ公園事業、県民の余暇や安らぎに云々で、固定費が無駄になろうと、今後の運営の無駄を回避できるという意味で事業を廃止すべきこととなろうという、こんな厳しい監査報告書が出されたにもかかわらず、出された35億円、私はこのことが一番問題だと思います。私は、チボリを巡る無責任な連鎖を止めるべきだと、ことのことを指摘して再々質問を終わらせていただきます。



知事

  18年度までの経営改善計画につきましては、これは県も協議を受けているところでありますが、これは、あくまでもチボリジャパン社が作成したものでありまして、その計画に基づく、先ほど御指摘いただきました県の補助金といったような支援につきましては、県議会の皆様にお諮りをし、御承認をいただいた上で執行をしているものでございます。チボリジャパン社の経営状況が大変厳しいということ、それから会計監査人の指摘等々につきましては、私も承知しているところでございますけれども、これまでにチボリジャパン社は債務超過に陥ったことはございません。今のような指摘等もありまして、先ほども申し上げたとおり、チボリジャパン社はなお、経営の安定化に向けまして従来にも増して、思い切った経営改善に取り組むということで、坂口社長は方針を述べておられるわけでありまして、県といたしましては、同社と緊密に連携をしながら、関係者と十分協議をしながら取り組んでまいりたいと考えております。


森脇ひさき県議の討論



日本共産党の森脇ひさきでございます。

 私は、知事提案の議案にはすべて賛成しますが、請願1件、陳情20件について委員長報告のとおり決することに反対し、主なものについて反対理由を述べたいと思います。

 まず、陳情第27号「テロ対策特別措置法の延長に反対する意見書を提出すること」を求める陳情についてです。

 「テロ対策特別措置法」は、アメリカの対テロ報復戦争に、国際貢献と称して日本の自衛隊を参加させるものでした。私はこの継続に断固反対です。その主な理由は二つです。

  一つは、テロに対して報復戦争という手段で対応したことが、根本から間違っているということです。アメリカがおこなった報復戦争は、「アルカイダのネットワークが世界60カ国に広がった」と指摘されるように、テロを世界中に拡散する結果をもたらしました。アフガニスタンでは、米軍などによる無差別の武力掃討作戦によって多くの民間人が殺害され、それが外国軍の駐留への怒りを強め、自爆テロを急増させるという情勢悪化の悪循環がおこっています。このことは「戦争でテロはなくせない」ということを事実で示しています。私は、この6年間の事実に立って、報復戦争支援の活動を中止するよう求めます。

  二つめの理由は、海外での米軍の戦争を支援することは、日本国憲法に違反しているからです。国連決議の有無に関係なく、日本国憲法は海外での武力行使の支援に参加すること禁じています。以上のことから、本陳情の採択を求めます。



次に、陳情第25号「障害者自立支援法の応益負担を廃止することを求める」陳情、第30号「外来にかかわる医療費を助成し、患者負担の軽減を図ること」を求める陳情、および第24号「心身障害者医療費公費負担制度をもとに戻すことを求める」陳情についてです。私は、これらの陳情の採択を求めます。

  日本共産党国会議員団は、全国の障害者施設・事業所のうち、通所・入所授産施設、居宅支援事業所を中心に無作為に抽出した350施設にアンケート用紙を送付し、障害者自立支援法による影響調査をおこないました。40都道府県172施設・事業所からの回答で、月1万円以上の負担増になった利用者は全体の6割、負担増を理由にサービス利用を中止した人の割合は1.4%ですが、昨年6月調査時の1.5倍になりました。施設・事業所の経営も深刻で、72%の施設・事業所が1割以上の減収となり、「職員の賃金の切り下げを余儀なくされている」「離職者が増え人材不足が心配」などと回答しています。調査の結果は、応益負担の導入によって「障害者は悲鳴、施設は危機」という実態がくっきり浮かび上がっています。また、この応益負担について、回答した施設関係者の88%が「廃止すべき」と答えているのも特徴です。

  さて、陳情の採択を求める理由の一つは、障害者年金のみで生活する障害者の方々はもちろん、障害をもつお子さんをかかえた家族の少なくない人々は、経済的にも精神的にも大きな困難をかかえているということです。障害をもった人々や家族の生活実態を顧みず負担を求めた結果、人間らしく生きる権利がうばわれ、「自立」から逆に遠のいた結果をもたらしていることは、これまでの議会で指摘してきましたし、先ほど紹介したアンケート結果にもあらわれているとおりです。

  障害者や家族の経済的、精神的負担の軽減をはかることが、行政の最大の責任です。ところが岡山県は、医療費公費負担制度に原則1割の自己負担を導入した全国で数少ない県のひとつです。自己負担の導入にあたって十分な議論がされたかどうか疑わしいなど、問題もあります。このような応益負担の導入は、行政の責任を放棄するものと言わざるを得ません。

  二つめの理由は、多くの障害者の場合、自立とは、社会的な支援があって成り立つということです。支援の内容や量は千差万別です。なのに、その制度利用に際し、「機械的に」ランクを付け、制約を加える……これによって、制度利用を中止したり、障害者の自立に向けた努力を妨げているのです。これがどうして「自立支援」と言えるでしょうか。

  三つめに、応益負担が「給付と負担の公平」を理由に導入されたことです。「給付を受けることは利益を得ることだから、それに見合う負担は当然」という論理ですが、そもそも障害者が利用する制度は、医療でも、福祉でも、「利益」ではありません。障害者の人間らしい生活を維持するために、なくてはならない、障害ゆえに必要となる制度なのです。それに負担を求めることは、たとえ1円であっても、間違っています。

  四つめ、応益負担の導入は、障害者の権利保障を求める国際的な到達点にも反するということです。1975年に国連で採択された「障害者権利宣言」には「障害者は、その障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有する」と述べられています。この精神のもとで、昨年12月、第61回国連総会において採択された「障害者の権利条約」では、第5条「平等および非差別」で「障害者の権利の平等を確保し、障害に基づく差別を禁止する」と規定しました。そして、その実現のために「合理的配慮の提供」を規定し、そのために「必要な措置は、障害にもとづく差別と解してはならない」と述べています。言い換えれば、障害者の権利の平等を確保するために「必要な措置」がない状態は「障害にもとづいた差別」としたのです。私は、「必要な措置」があったとしても、その利用に制約がある場合も、「障害にもとづいた差別」だと考えます。障害者自立支援法の応益負担、岡山県の障害者医療費公費負担制度の自己負担は、まさにこれに当たります。

  以上のことから、障害者自立支援法の応益負担をなくすよう国に求め、岡山県の心身障害者医療費公費負担制度を見直すことを求める、これらの陳情は採択すべきです。

  第三に、陳情第20号「医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を国に求める」陳情の採択を求めます。

 昨年、奈良県での妊婦死亡に続く先月同県での死産、そして東京都でも昨年、救急搬送を受け入れ拒否され死産する事例があったと報じられています。今朝の新聞で報道された共同通信社のまとめでも明らかなように、産科医の不足は深刻です。岡山県では、高梁・新見圏域、真庭圏域、津山・英田圏域には産科病院がなく、高梁・新見圏域には産科診療所もありません。高梁・新見圏域の100床あたりの医師数は、全国最下位となっています。

 深刻な医師不足が社会問題となるなか、今年7月の参議院本会議では、医師・看護師などの増員、看護職員の配置基準の見直しなどを求めた「安全・安心の医療と看護の実現を求める」請願が全会一致で採択されました。県民の誰もが求める「安全・安心」の医療を確保するためにも、医師・看護師不足がもたらす医療従事者の長時間・過密労働の問題を解決するためにも、本陳情の採択を強く求めます。



最後に、陳情第5号、14号および15号「政務調査費収支報告書に領収書等の添付を求める」陳情です。先の参議院選挙でも、「政治とカネ」の問題は大きな争点のひとつでした。政治家の責任で明らかにすべき問題を、拒み続けていることに国民の怒りを大きくしています。

  岡山県議会議員の場合、1人あたり上限年間420万円の政務調査費が支給されます。この巨額な税金を領収書なしに使い切るというのは、市民感覚からかけ離れています。領収書をすべて添付することは、税金の使い方をチェックする役割をもつ議会として当然のことです。本年度、岡山市、倉敷市、玉野市など15市のうち13市で領収書添付が決まりました。中国地方5県では、先般山口県議会が全支出について領収書添付を決めました。領収書添付を決めていないのは岡山県と広島県だけになっています。岡山県議会としても、直ちに領収書の添付に踏み切るべきであり、そのために本陳情を採択するよう求め、討論を終わります。

議案に対する各党(会派)の態度

2007年9月定例会議案 各会派の態度
共産 自民 民主 公明 賛否
議第 75号 平成19年度岡山県一般会計補正予算(第3号)
議第 76号 地方独立行政法人岡山県精神科医療センター定款の変更について
議第 77号 地方独立行政法人岡山県精神科医療センター出資について
議第 78号 工事請負契約の締結について
議第 79号 平成18年度岡山県営電気事業会計の決算認定について
議第 80号 平成18年度岡山県営工業用水道事業会計の決算認定について
議第 81号 平成18年度岡山県営病院事業会計の決算認定について
議第 82号 岡山県吏員恩給条例の一部を改正する条例
議第 83号 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例
議第 84号 岡山県県土保全条例及び都市計画法に係る開発行為の許可の基準に関する条例の一部を改正する条例
議第 85号 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例
議第 86号 岡山県景観条例の一部を改正する条例
議第 87号 岡山県生活環境関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 88号 岡山県畳表格付検査条例の一部を改正する条例
議第 89号 岡山県土木関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 90号 岡山県公営企業に従事する企業職員の給与の種類及び基準を定める条例の一部を改正する条例
議第 91号 岡山県警察関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 92号 人事委員会委員の選任同意について
議第 93号 公安委員会委員の任命同意について
議第 94号 収用委員会予備委員の任命同意について
議第 95号 土地利用審査会委員の任命同意について

請願・陳情に対する各党(会派)の態度

2007年9月議会 各会派の態度
新規継続 受理番号 受理年月日 委員会 提出者 要旨 紹介議員 共産 自民 民主 公明 採否
新規 陳情第16号 190821 総務 岡山県私学協会 私学助成に関する意見書の提出について
新規 陳情第21号 190911 総務 とめよう戦争への道百万人署名運動岡山県連絡会 岩国市市庁舎建設補助金交付打ち切りの撤回を求めることについて × × ×
新規 陳情第27号 190911 総務 時代をきりひらく平和憲法の会 テロ対策特別措置法の延長に反対する意見書を提出することについて × × ×
継続 陳情第 2号 190402 生・保 木下 富夫 公的年金の未加入期間を国民年金でつなぐ場合の期間の延長に関することについて
継続 陳情第 4号 190529 生・保 精神障害者当事者団体ゆ一とぴあ岩田 岡山県内在住の精神障害者に対する公共交通機関の運賃割引に関することについて
継続 陳情第 6号 190611 生・保 国立療養所長島愛生園入所者自治会 長島愛生園・邑久光明園のハンセン病療養所を地域に開かれた医療・福祉施設として存続・発展させることを求めることについて
継続 陳情第12号 190613 生・保 林友の会 JRを初め、県下の交通機関の運賃割引サービスを精神障害者にも適用するよう、関係機関に働きかけることについて
新規 陳情第17号 190830 生・保 岡山県保険医協会歯科部会 保険でよい歯科医療の実現を求める意見書の採択を求めることについて × ×
新規 陳情第20号 190910 生・保 岡山県医療労働組合連合会 医師・看護師などを大幅に増員するための法改正を国に求めることについて × ×
新規 陳情第24号 190911 生・保 障害者の生活と権利を守る岡山県連絡協議会 心身障害者医療費公費負担制度をもとに戻すことを求めることについて × ×
新規 陳情第25号 190911 生・保 障害者の生活と権利を守る岡山県連絡協議会 障害者自立支援法の応益負担を廃止することを求めることについて × ×
新規 陳情第29号 190912 生・保 林友の会 精神医療・福祉の充実と、精神障害者への偏見・差別解消のための啓発活動を強力に推進することについて × ×
新規 陳情第30号 190912 生・保 林友の会 外来にかかわる医療費を助成し、患者負担の軽減を図ることについて × ×
新規 陳情第31号 190912 生・保 きょうされん岡山支部 精神障害者への偏見・差別解消のための啓発活動を強力に推進することについて × ×
新規 陳情第32号 190912 生・保 児童扶養手当を考える会 児童扶養手当の減額見直しを求めることについて
新規 陳情第19号 190910 産・警 岡山県商工会議所連合会 事業承継円滑化のための税制措置等に関することについて
新規 陳情第18号 190905 土木 岡山県建設労働組合 公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保に関することについて
新規 請願第 2号 190911 文教 日本会議岡山 教育改革に関する意見書採択について 蓮岡 × ×
新規 陳情第22号 190911 文教 岡山県教職員組合 教育予算の拡充を求める意見書の採択を求めることについて
新規 陳情第23号 190911 文教 岡山県教職員組合 教育予算の拡充を求める意見書の採択を求めることについて × × ×
新規 陳情第26号 190911 文教 障害者の生活と権利を守る岡山県連絡協議会 倉敷地域に県立養護学校新設を求めることについて
継続 陳情第 5号 190607 議運 NPO法人市民オンブズマンおかやま 政務調査費収支報告書に領収書等の添付を求めることについて
継続 陳情第14号 190613 議運 市民本位の市政をつくる会 政務調査費に関することについて
新規 陳情第15号 190820 議運 民主県政をつくるみんなの会 政務調査費に関することについて
新規 陳情第28号 190912 議運 NPO法人市民オンブズマンおかやま 岡山県議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第3条3項の改正を求めることについて